童話・児童文学と本づくりの用語集
児童書づくりで出てくる言葉を五十音順に解説。物語の種類や文章、漢字とルビ、判型と製本、校正、挿絵、流通など、初めて本を作る大人に向けて意味と関連する記事を案内します。
- ISBN(あいえすびいえぬ)
- 本の版や形態を識別する国際標準図書番号です。書店などで本を注文・管理する際に使われます。番号が付くだけで店頭に並んだり、図書館に所蔵されたりするわけではありません。配る範囲と販売方法に応じて必要性を相談します。
- あらすじ(梗概)(あらすじこうがい)
- 登場人物や主な出来事、物語の流れを短くまとめた文章です。公募用では、読者の興味を引く紹介文と違い、通常は結末まで伝えます。省く場面を選び、人物の行動と結果がつながるように書き、指定の分量を守ります。
- 委託配本(いたくはいほん)
- 本を書店などへ預けて販売してもらう流通方法です。売れ残った本が返品される場合もあります。希望する店への陳列が必ず実現するとは限らないため、配本先、期間、返品や在庫の扱いを契約前に確認します。
- 糸かがり綴じ(いとかがりとじ)
- 折り重ねた本文の紙を糸で縫って綴じる方法です。繰り返し開く本などで用いられます。丈夫さや開きやすさは用紙、ページ数、製本全体の仕様にもよるため、この綴じ方なら必ず壊れないとは考えず、見本で確かめます。
- 色校正(いろこうせい)
- 印刷したときの色の具合を確かめる作業です。画面の色と紙の色は同じとは限らず、挿絵や表紙の仕上がりを確認する助けになります。確認用の印刷方法や用紙で見え方が変わるため、試す範囲、条件、追加費用を相談します。
- A5判(ええごはん)
- 本の判型の呼び名で、読み物や教科書などにも使われます。児童書では文字を大きめにし、挿絵と余白を配置する候補になります。同じ判型でも入る文章量は組み方で変わるため、代表的なページを試しに作って確かめます。
- 絵本(えほん)
- 絵を中心に、言葉やページの展開を組み合わせて内容を伝える本です。文字がない作品もあり、幼児向けに限りません。童話を絵本にする場合は、文章で伝える部分と絵で伝える部分を考え、挿絵付きの読み物との違いを確かめます。
- 奥付(おくづけ)
- 書名、著者名、発行日、発行者など、本の発行に関する情報を載せる箇所です。巻末に置くことが多くあります。子や孫に贈る本でも、いつ誰が作ったかを残す助けになります。住所など、公開する個人情報の範囲も確認します。
- オフセット印刷(おふせっといんさつ)
- 版のインクをいったんゴム製の転写面に移し、そこから紙へ印刷する方式です。適する部数や費用は本の仕様によって変わります。児童書では本文の文字やルビに加え、挿絵の色の再現も見本で確かめて印刷方法を選びます。
- オンデマンド印刷(おんでまんどいんさつ)
- 必要な部数をデジタルデータから印刷する方式で、少部数の本づくりにも使われます。注文のたびに製造・販売する仕組みが必ず付くわけではありません。対応する部数、紙、製本、挿絵の色の仕上がりを制作先に確認します。
- カバー(かばあ)
- 本体の表紙を覆う、取り外せる外装です。表紙そのものとは別に作り、書名や絵、紹介文などを載せます。子どもが繰り返し扱う本では、外して読む場合も考え、本体の表紙に何を載せるかと合わせて仕様を決めます。
- 学年別漢字配当表(がくねんべつかんじはいとうひょう)
- 小学校で学ぶ漢字を学年ごとに示した表です。出典は文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』付録 学年別漢字配当表です。その学年末までに習う目安で、読める保証ではありません。音訓や熟語、送り仮名は別に確かめ、ルビを考えます。
- 級数(きゅうすう)
- 文字の大きさを「級」という単位で表した数です。文書作成ソフトで使うポイントとは異なり、数字だけをそのまま置き換えることはできません。同じ級数でも書体で見え方が変わるため、ルビも含めて紙の見本で確かめます。
- 教育漢字(きょういくかんじ)
- 小学校で学ぶ、学年別漢字配当表に示された漢字の通称です。児童書で使える漢字を一律に制限するものではありません。配当学年だけで判断せず、言葉自体の難しさや読み方も見て、言い換えやルビを検討します。
- 献本(けんぽん)
- 著者や出版社などが、完成した本を関係者や施設へ贈ることです。図書館や学校へ寄贈する場合は、送付前に受け入れ方針を確かめます。贈った本が必ず所蔵・紹介されるとは限らないため、相手の意向と必要部数を確認します。
- 原稿用紙換算(げんこうようしかんさん)
- 原稿の分量を、指定された字詰めと行数の原稿用紙に直して表すことです。改行や空きも関わるため、実際の文字数を割った値とは一致しない場合があります。公募では要項の換算方法を優先し、本のページ数とは区別します。
- 校正(こうせい)
- 原稿と紙面を照合し、誤字や表記、配置などを確認する作業です。児童書ではルビの読み、人名、挿絵と文章の関係にも目を配ります。物語の構成を練り直す推敲とは役割が異なり、著者自身が確認する作業は著者校正と呼びます。
- 校正刷り(こうせいずり)
- 本番の印刷前に、文字や紙面を確かめるための試し刷りです。実際の大きさで本文やルビの読みやすさを見られます。本番と同じ紙や印刷方式とは限らないため、何を確認できるかと費用を依頼前に確かめます。
- 再話(さいわ)
- 昔話など、すでにある物語を読者に合わせて語り直すことです。元の話の筋と、参考にした本独自の文章や翻訳は区別します。古い話でも参考資料の表現や挿絵に権利が残る場合があるため、出典と利用条件を確認します。
- 挿絵(さしえ)
- 本文に添えて、場面や登場人物を伝える絵です。児童書では読み進める楽しみや、内容をつかむ手がかりになります。依頼するときは描く場面、点数、大きさ、色の有無を伝え、本文との食い違いや利用できる範囲を確認します。
- 書店流通(しょてんりゅうつう)
- 本を書店へ届け、販売や注文に対応できるようにする仕組みです。注文を受けて送る方法と、店頭販売のために配本する方法があります。すべての店に並ぶことや売上を保証するものではなく、部数、費用、期間などを確認します。
- 四六判(しろくばん)
- 小説などの単行本にも使われる判型です。文章中心の児童文学をまとめる際の候補になります。本文の文字が大きくなると本も厚くなりやすいため、ルビや挿絵を含む紙面と、子どもが持ったときの重さを確かめます。
- 児童書(じどうしょ)
- 主に子どもを読者として作られた本の総称です。物語のほか、図鑑や知識の本なども含みます。書くときは児童書という呼び名だけで決めず、読者の年齢、読書経験、読み聞かせか自分で読むかを具体的に考えます。
- 児童文学(じどうぶんがく)
- 主に子どもを読者として書かれ、読まれる文学です。童話、小説、詩などが含まれ、大人も楽しめる作品があります。子どもに教訓を教えることだけを目的とせず、読者が登場人物の思いや物語の展開を味わえるように書きます。
- 上製本(じょうせいほん)
- 綴じた本文に、別に作った厚く硬い表紙を取り付ける製本方法です。ハードカバーとも呼びます。長く残す本の候補になりますが、重さや開きやすさは紙と綴じ方でも変わります。子どもが扱う様子を想像し、見本で確認します。
- 総ルビ(そうるび)
- 原則としてすべての漢字にふりがなを付ける方法です。習っていない漢字を読む助けになりますが、語の意味まで分かるとは限りません。本文だけでなく見出しや挿絵の説明にも付けるかを決め、紙面が窮屈にならないか確認します。
- 注文出荷(ちゅうもんしゅっか)
- 書店などから注文が入った後に本を送る方式です。あらかじめ店頭へ配本する方式とは異なります。どこで注文できるか、在庫を誰が管理するか、届けるまでの流れを確認します。著者が読者へ購入方法を伝えることも大切です。
- 童話(どうわ)
- 子どもに向けた物語を指す言葉です。空想的な話だけでなく、身近な暮らしを描く話もあります。幼い読者向けの短い物語を指すこともありますが、厳密な区切りは一定ではありません。公募では対象年齢と分量の指定を確認します。
- 並製本(なみせいほん)
- 比較的柔らかな紙などを表紙に使う製本方法で、ソフトカバーとも呼びます。表紙の外に取り外せるカバーを巻く場合もあります。子どもが持ち運ぶ読み物では、軽さ、開きやすさ、繰り返し読むときの扱いやすさを比べます。
- 二重投稿(にじゅうとうこう)
- 同じ作品を、結果が出る前に別の公募などにも送ることです。多くの公募で禁止されています。題名や一部の文章を変えても別作品とは限りません。落選後の再応募でも、応募歴や出版の優先権に関する公式要項を確認します。
- 判型(はんけい)
- 本の仕上がりの大きさを表す言葉で、厚さやページ数とは別です。児童書では子どもの持ちやすさ、文字の大きさ、挿絵を見せる広さを考えて選びます。判型だけで決めず、紙や製本を含む実物の見本で確かめます。
- パラルビ(ぱらるび)
- すべての漢字ではなく、必要な語を選んでふりがなを付ける方法です。難しい読みや人名、地名などが候補になります。読者の学年だけに頼らず、同じ語が再び出たときの扱いも決め、付け方のばらつきを校正で確かめます。
- B5判(びいごはん)
- 絵や図を比較的大きく配置しやすい判型です。児童書では挿絵や資料を見せたい場合の候補になります。紙面が広くても文字を詰め込みすぎず、読むときの視線の動きや、子どもの手で支えやすいかを確かめます。
- B6判(びいろくはん)
- 文章中心の本にも使われる、比較的小ぶりな判型です。持ちやすさを検討しやすい一方、大きな文字や挿絵を入れるとページ数が増える場合があります。子どもが読む本では、重さと読みやすさの両方を見本で比べます。
- 分類コード(Cコード)(ぶんるいこおどしいこおど)
- 本の読者対象、発行形態、内容を示す分類の記号です。児童向けか一般向けかなどを伝える手がかりになります。個々の本を識別するISBNとは役割が異なります。作品の読者と内容に合う分類を制作先に相談します。
- プロット(ぷろっと)
- 物語の出来事や展開を組み立てた設計図です。主人公の願い、立ちはだかる問題、選択と結末を短く並べると、話のつながりを確かめられます。書き始めるための道具なので、執筆中に必要があれば組み直して構いません。
- 変型判(へんけいばん)
- 一般的な判型から縦や横の寸法を変えた本の大きさです。作品の雰囲気や挿絵の構図に合わせて検討できます。定型の本と費用や作れる仕様が異なる場合があるため、縦横の仕上がり寸法を伝えて見積もりを取ります。
- 本文レイアウト(ほんぶんれいあうと)
- 本文の文字、見出し、挿絵、余白などを紙面に配置することです。児童書では文字の大きさだけでなく、行間やルビの位置、ページをまたぐ文の切れ目も考えます。代表的なページを作り、仕上がりの大きさで確認します。
- 見返し(みかえし)
- 表紙の内側と本文の間などに置く紙です。上製本では表紙と本文をつなぐ役割も持ち、本を開いたときの印象に関わります。紙の色や絵の有無を相談し、本文のページ数に含めるかは制作先の数え方を確認します。
- 未発表作品(みはっぴょうさくひん)
- まだ公に発表されていない作品を指しますが、公募で認められる範囲は賞ごとに異なります。同人誌、ブログ、自費出版、講座での公開の扱いを、その回の公式要項で確認します。公開を取り消しても未発表になるとは限りません。
- 幼年童話(ようねんどうわ)
- 幼児から読書を始めたころの子どもを主な読者とする童話です。読み聞かせにも、自分で読む練習にも親しめるよう、言葉のリズムや展開の分かりやすさを考えます。対象年齢や分量の目安は出版社・シリーズで異なります。
- 読み物(よみもの)
- 児童書では、主に文章を読み進めて楽しむ本を指す言い方です。挿絵が入ることもあり、絵本との境界は厳密ではありません。自分で読む子どもを思い浮かべ、章の区切り、文字の大きさ、読み切れる分量を考えます。
- ルビ(るび)
- 漢字などのそばに添える小さなふりがなです。読者が読み進める助けになります。児童書では本文とルビの大きさ、行間を合わせて考えます。原稿では読みを明示し、本の紙面にした後も付く位置や読み違いを確認します。
- YA(ヤングアダルト)(わいええやんぐあだると)
- 主に中高生など、子どもから大人へ向かう世代や、その世代に向けた本を指す言葉です。友情、家族、自分の生き方など幅広い題材を扱います。対象年齢の区切りは一定ではなく、出版社や図書館の分類によっても異なります。
- 分かち書き(わかちがき)
- 言葉や文節のまとまりごとに空白を入れる書き方です。「こねこが まどを みています」のように、ひらがなの続く文の切れ目を示します。区切り方をそろえ、声に出して読んだときにも意味をつかみやすいか確かめます。