この記事の要点
部数は、実際に渡したい相手を数えてから決めます。寄贈の未確認分と確定分を分け、保存用と予備を足しましょう。販売する場合は流通の最少部数と、残った本の保管も確認します。
配る相手は人数ではなく渡す冊数で数える
童話や児童文学を自費出版する大人にとって、部数は「どれだけ売れそうか」より、まず「誰に届けたいか」から考える項目です。家族で共有する本なら世帯ごと、卒園の記念なら子どもごとというように、渡し方で必要な冊数が変わります。
連絡先と冊数をまとめた配布表を作り、受け取りを確認した相手と、まだ相談していない相手を分けます。たとえば祖父母と孫が同居していても、孫の名前を入れて贈るなら、共有用とは別に数えることがあります。
| 配る先・用途 | 数えるときの確認点 |
|---|---|
| 家族・親戚 | 世帯で共有するか、子ども本人に贈るか |
| 園・学校 | 教室で共有するか、子どもへ配るか。先方の了解はあるか |
| 図書館 | 寄贈の受け入れと必要な冊数を確認できたか |
| 知人・制作を手伝った人 | 贈りたい相手と、購入希望者を分けたか |
| 著者の保存用 | 手元で読む分と、記録として残す分は必要か |
| 予備 | 後から希望する親戚や、破損時の交換を見込むか |
園や学校の子どもへ配る場合は、担任だけでなく施設としての受け取り方も相談します。名簿を預かる必要があるか、施設でまとめて配ってもらえるかを確かめ、住所録をむやみに増やさないようにします。
少部数から作り、未確定の寄贈先を当てにしない
お手軽出版の制作条件は「最少16ページ・10部から(10部単位。オフセット印刷は30部から)」です。少ない冊数から作れるので、家族に贈る私家版も検討できます。私家版とは、身近な人への配布などを目的に、個人で作る本のことです。
配布表では「決定」「返事待ち」「候補」を書き分けます。図書館へ置いてもらいたいという希望だけで、寄贈予定の冊数を確定させないことが大切です。受け入れ方針は施設ごとに違います。図書館・学校・園への寄贈を参考に、先に問い合わせましょう。
予備は、使い道を言葉で説明できる範囲から考えます。「後から頼まれるかもしれない」という期待だけで増やすと、置き場所が足りなくなることがあります。配る予定が少なければ、自分で作る方法も比較できます。
販売する場合は流通コースの最少部数を確認する
同社の流通コースと最少部数は次のとおりです。家族への配布冊数だけで決めた部数では、希望する販売方法を選べない場合があります。
| 流通コース | 最少部数 |
|---|---|
| 委託配本(書店の店頭に並ぶ) | 400部から |
| 注文のみ対応(書店で注文できる) | 200部から |
| Amazonのみで販売 | 10部から |
| 流通なし(配る・手元に置く) | 10部から |
委託配本は書店の店頭へ本を届ける方法、注文のみ対応は注文を受けて届ける方法です。Amazonのみの販売とも役割が違います。委託配本を選んでも、希望する店に必ず並ぶことや、全冊売れることを約束するものではありません。
販売分、著者の手元に置く分、献本する分をどう分けるか、最少部数との関係を担当者に確かめます。図書館に寄贈する分も含めて、同じ本を二重に数えないようにします。書店・Amazonでの販売で条件を確かめてから、見積もりに反映してください。
増刷を選べるよう最終原稿と訂正を残しておく
増刷は、同じ本を追加で印刷することです。運営会社の案内は「増刷は印刷費のみ(1割引・最大10,000円)」です。必要な人に配った後で希望が増えた場合は、残部を確認して追加制作を相談できます。
ただし、文章や挿絵を変更する場合も同じ条件になるとは限りません。訂正箇所、追加部数、納期、送料を伝え、どこまでが増刷の費用に含まれるか確認します。元のデータの保存方法と、再利用できる範囲も聞いておきます。
著者側でも最終原稿、挿絵の元データ、校了時の確認データを保管します。読者から指摘された誤字は、配布表と別の訂正メモにまとめます。後で直すときに、どの版のどの箇所か分かるようにしておくと相談しやすくなります。
在庫の置き場所と発送の手間も部数に含めて考える
本は完成すると箱で届くため、本棚に並べた状態だけで置き場所を考えないようにします。箱の大きさや数量、重さ、納品場所を制作先に尋ねます。床から湿気が上がる場所や直射日光が当たる場所を避け、取り出せる余裕も確保します。
一般に部数を増やすと単価が下がることはありますが、支払う総額や保管・発送の手間も増えます。売上を見込んで無理に増やさず、費用は合計で比べましょう。流通を頼む場合も、誰がどの在庫を預かるかを確認します。
完成後は、配った日と残った冊数を記録します。園へまとめて渡す分、遠方へ送る分、保存用を分けると、追加の希望に答えやすくなります。受け取った人に感想や購入を急がせず、読めるときに楽しんでもらう気持ちで届けてください。