この記事の要点
販売方法は、誰にどこで買ってもらいたいかを考えて選びます。ISBNや流通の手続きは販売の窓口を整えるものです。部数、印税、取り扱い期間を確認し、売上を保証するものとは分けて考えます。
ISBNは本を識別する番号で、売上を保証しない
童話や児童文学を書いた大人が一般販売を考えるときは、本を作ることに加えて、読者が検索・注文できる窓口を整えます。ISBNは本を識別する国際的な番号です。書名が似ている本や版が違う本を区別し、書店などが注文を扱う際に使います。
ISBNを付けることと、販売の仕組みを用意することは同じではありません。番号があるだけで書店の棚に並んだり、図書館の蔵書になったりするわけではありません。出版を依頼する際に、ISBN、書誌情報の登録、注文への対応を誰が行うかを確認します。
書誌情報は、書名、著者名、出版社、判型、ページ数など、本を特定する情報です。本文や表紙だけでなく、登録される書名や著者名も著者が確認します。子どもが読む本でも、購入先を調べる保護者や先生に内容が伝わる紹介文が必要です。
分類コードの「児童」は読者対象の先頭が8になる
分類コード、いわゆるCコードは、読者対象や本の形、内容などを示すための表示です。読者対象の「児童」は8で始まります。ただし、Cコードは個々の子どもが読める年齢を保証したり、図書館の棚を指定したりするものではありません。
運営会社は「分類コード(書店や図書館が参考にする書籍のジャンル)を選べるので、児童書としても大人向けとしても出せる」と案内しています。絵が多い本でも大人に向けた内容なら、児童向けかどうかを実際の読者に合わせて相談します。絵本という形だけで分類を決めないようにしましょう。
たとえば、低学年が自分で読む童話なら、その読者に合わせた紹介文と本文の見本を用意します。地域の昔話を親子で読む本なら、子どもが一人で読む部分と大人が補う説明を整理します。読者の年齢で考えた想定を、分類や内容紹介にも反映してください。
流通コースは店頭に並べたいか注文に応じたいかで選ぶ
お手軽出版のコースと最少部数は次のとおりです。手元で配る本も含めて、必要な総部数と、販売用・著者用の分け方を相談します。
| 流通コース | 最少部数 |
|---|---|
| 委託配本(書店の店頭に並ぶ) | 400部から |
| 注文のみ対応(書店で注文できる) | 200部から |
| Amazonのみで販売 | 10部から |
| 流通なし(配る・手元に置く) | 10部から |
委託配本は書店の店頭に並べる方法です。希望するすべての店舗への配本や、一定期間の陳列を約束する意味ではありません。注文のみ対応は、店頭在庫がなくても書店で注文できるようにする方法です。Amazonのみの販売は、一般書店での注文対応とは分けて考えます。
知人や読み聞かせの参加者へ購入先を知らせたい場合と、書店で初めて手に取る人へ届けたい場合では、必要な窓口が違います。最少部数の多いコースを選べば売れやすいとは限りません。部数と予算を照らし合わせ、残部の保管や返本の扱いも契約で確かめます。
定価は本の仕様と購入する人を考えて相談する
定価は、本の内容、判型、ページ数、製本、買ってほしい人を考えて決めます。制作費を予定部数で割った金額だけで決めると、購入する人が受け止める価格や、流通の費用との関係を見落としやすくなります。
書店で、同じ読者層や用途を想定する本を手に取り、仕様と価格の関係を確かめる方法があります。その価格に必ず合わせるという意味ではありません。著者が負担できる制作費と、売れた場合の受け取り額は分けて計画します。
たとえば「地域のおはなし会で紹介し、希望する家庭が注文できる短編集」なら、購入窓口と、家族で共有する読み物としての仕様を先に整えます。定価の税の表示、著者が直接販売する場合の条件、価格を決める時期は担当者に相談しましょう。
印税と流通の保障期間は契約条件として確かめる
運営会社の印税の案内は「6ヶ月ごとに実売部数×定価の50%を支払い(5,000円未満は次回に繰り越し)」です。印税は販売に応じて著者へ支払われるお金で、この案内は同社の条件です。他社にも共通する割合や、制作部数すべてに対して支払われる条件ではありません。
実売とは、実際に売れた分を指します。制作した部数や書店へ預けた冊数を、そのまま実売と数えないようにします。売上の報告方法、返品の反映、精算対象となる販売分は、契約時に確認してください。
流通については「流通の保障期間は初版発行後2年」という案内です。これは流通の保障期間であり、売れる部数や収入の保証ではありません。期間の終了後に注文対応や在庫がどうなるか、継続の可否と費用はどうかも確認します。
ページ数と完成後の期間を見て販売の案内を準備する
同社の案内は「流通させる場合のページ数の目安: 絵本・写真集(ハードカバー)は24ページ以上、文芸書は120ページ以上。流通しないなら自由」です。これは本の種類に応じた流通の目安で、どの童話にも一律に当てはめるページ数ではありません。短い幼年童話や挿絵の多い読み物がどの扱いになるか、原稿と仕様を見せて相談します。目安に合わせるためだけに話を引き延ばさないようにしましょう。
流通しない場合も、制作できる最少ページ数などの条件は別にあります。読者に合う分量を文字数とページ数で考え、販売の都合と読みやすさをすり合わせます。
書店の情報登録は「完成から約1ヶ月で全国の書店・オンライン書店のデータベースに反映」が目安です。完成日にどの店でも買えるとは案内せず、購入先を確認してから知らせます。新刊案内の絵本・児童書は、書誌情報や紹介文の見せ方の参考になります。掲載例を販売実績や売上の保証として扱わず、自作に合う届け方を考えてください。