この記事の要点
原稿用紙の枚数に400を掛けても、実際の文字数とは一致しません。会話や改行で空きが生まれるためです。公募は指定書式で枚数を確認し、本にするときは判型や文字の大きさから考えます。
原稿用紙の枚数と実際の文字数は、別に数えます
童話を書く大人が分量を調べるときは、何を数えている数字かを先に確かめます。400字詰め原稿用紙は、文字を入れられる枠の大きさです。段落の頭の空き、会話の後の改行、章末の余白があるため、使った枚数のすべてが文字で埋まるわけではありません。
例えば「ただいま。」「おかえり。」をそれぞれ改行して書けば、短い会話でも行を使います。地の文が長く続く作品と、会話が多い作品では、実文字数が同じでも必要な原稿用紙の枚数が変わります。字数を400で割った値は機械的な目安であり、指定どおりに組んだ枚数と一致するとは限りません。
| 数えるもの | 意味 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 実際の文字数 | 原稿に入力された文字の数 | 空白や改行の扱いはソフト・投稿先の説明で確認する |
| 400字詰め原稿用紙換算 | 原稿用紙の枠を基準にした分量 | 単純な字数割りか、組んだ枚数かは要項の指示に従う |
| 指定書式のページ数 | 指定された字数・行数で組んだ枚数 | 書式を変えるとページ数も変わる |
| 本のページ数 | 印刷・製本する紙面の数 | 挿絵、目次、扉なども含めて設計する |
公募の枚数規定は、賞名・回次・書式をセットで読みます
以下は2026年9月25日確認の規定例です。締切済みの回も、分量を比べる資料として載せています。現在応募できる賞だけの一覧ではありません。要項は毎回変わるので、応募前に必ず公式で確認してください。
| 賞と回次 | 確認日時点の状況 | 分量の規定・目安 |
|---|---|---|
| 講談社児童文学新人賞 第67回 | 継続、第67回は締切済み | A4横・縦書き40字×30行で10〜100ページ |
| 小川未明文学賞 第35回 | 募集中 | 400字詰めで、低学年向け短編20〜30枚、中学年以上向け長編60〜120枚 |
| 福島正実記念SF童話賞 第39回 | 継続・隔年、第39回要項公開済み | 400字詰め50〜60枚、枚数厳守。小学校3・4年から読め、高学年でも楽しめる作品 |
| 角川つばさ文庫小説賞 第15回・一般部門 | 継続、第15回は締切済み | 40字×30行で65〜85ページ。実文字数は4万〜7万字が目安 |
「ページ」と「400字詰めの枚数」を、同じ単位として比べないようにします。例えば小川未明文学賞の第35回要項では、パソコン原稿は40字×30行で、短編7枚程度〜10枚、長編20〜40枚という指定です。同じ作品の分量を、別の書式で示している点に注意してください。
また、字数の目安とページ数の条件が並記されている賞は、字数だけ満たせばよいとは限りません。応募用のあらすじや表紙の扱いも含め、応募原稿の作り方で確認事項を整理します。
書き始める前に、場面ごとの役割から長さを考えます
応募先が決まっているなら、指定範囲で伝えられる出来事を選びます。短い童話に、出会い、長い旅、複雑な過去、別の主人公の物語まで入れると、どれも説明だけになりがちです。大切な選択の場面を中心に、必要な準備と結果を並べます。
例えば「傘を返す話」なら、返せない理由、返そうとして困る場面、主人公が選ぶ場面、選んだ後の変化が候補です。それぞれを短く書いて全体を見てから、重要な場面へ描写を足します。最初からすべての章を同じ長さに揃える必要はありません。
家族用の本なら、公募の上限に合わせる必要はありません。ただ、読者が一息で読めるまとまりや、続きを読み始めやすい区切りは考えます。対象年齢と物語の構成を行き来して調整しましょう。
文字数から本のページ数を出すには、紙面の条件が必要です
同じ原稿でも、本のサイズである判型、文字の大きさ、行間、ルビ、挿絵の量によってページ数は変わります。大きい文字や広い行間にすれば、同じ紙面へ入る文章は一般に少なくなります。章を新しいページから始めるかによっても余白が変わります。
原稿からページ数の目安を調べるツールでは、想定する本の条件を変えて比較できます。計算結果を確定ページ数とはせず、長い会話と地の文の両方を試し組みすると、原稿の特徴を反映しやすくなります。
本文以外に目次や扉を入れる場合も、制作する本のページ数に関わります。お手軽出版ドットコムの数え方は、表紙まわり(表紙・表紙裏・裏表紙・裏表紙裏)・見返し・別丁扉以外は、白紙も含めてすべてページ数に数える。見積もり前にはページ数の案内と照らし、原稿の文字が載るページだけを数えていないか確認します。
短すぎるときは、説明を増やす前に選択の過程を補います
「ミナは迷いましたが、傘を返しました」だけなら、何に迷い、どう決めたのかが省かれています。「玄関まで行って戻りかける」「友達が濡れていると気づく」と場面にすると、気持ちの変化を読者が追えます。これは字数を埋めるための背景説明とは違う役割です。
足す候補は、主人公が試す行動、思い通りにならなかった結果、考えが変わるきっかけです。すでに伝わっている気持ちを別の言葉で言い直すだけなら、加筆を控える判断もできます。自然な長さで完成している場合は、別の応募先や本の形を検討してもよいでしょう。
長すぎるときは、同じ役割の場面をまとめます
各場面の横に「人物を紹介する」「障害を示す」「選択する」などの役割を書きます。同じ事情を説明する場面が続いていたら、まとめるか片方を削ります。結末に関わらない脇筋や、作者だけが知っていればよい設定も見直します。
文字数を減らすために、必要な主語や会話の動作まで削ると読みにくくなります。まず構成を直し、その後に重複する表現を整えます。公募のページ数を満たすために、指定の文字の大きさや行数を勝手に変えることは避けてください。修正したら指定書式で数え直し、推敲で筋がつながっているかを確かめます。