この記事の要点
本文は文字の大きさ、行間、ルビ、余白を組み合わせて整えます。読者の年齢と読み方を想定し、自分の原稿を実寸で印刷して、行を追いやすいか、絵と文字が混み合わないかを確かめます。
文字の大きさは子どもの読み方に合わせて試します
童話を書く大人が本文を組むときは、子どもが自分で読むのか、大人の読み聞かせが中心なのかを先に決めます。自分で読む本では、文字を見分けて次の行へ移る動きまで考えます。大きい文字を使っても、行が長すぎたり、余白が狭かったりすれば読みづらくなります。
お手軽出版の案内では、子ども向けの本では本文を11〜12ポイントにする人もいる(標準は9〜10ポイント)。ポイントは文字サイズを表す単位です。この数値は同社の制作例であり、すべての子どもに合う最低値や、学年別の基準ではありません。大きい文字の見本に自分の本文を当てはめて比べます。
本文を拡大すると入る文字が減り、ページ数が増える場合があります。費用を抑えるために文字だけ小さく戻す前に、文章の重複や余白、挿絵の位置も見直します。判型と製本も合わせて決めると、読みやすさを保った調整ができます。
行間と余白は次の行を見つけやすい幅に整えます
行間とは、隣り合う行の間隔です。詰めすぎると文字のかたまりが重く見え、広げすぎると文章の続きが追いにくくなることがあります。本文の文字だけでなく、ルビを入れた状態で間隔を確かめましょう。
余白は、ページの端や綴じ目と本文の間にある空間です。綴じ目側が狭いと、本を開ききらないと文字が見えないことがあります。指で本を持つ場所やページ番号の位置も含め、実際の読む姿勢で見ます。
比較するなら同じ場面を使い、「本文は同じで行間だけを広げる」「行間は同じで文字を大きくする」と、変える条件を絞ります。すべてを同時に変えるより、何が読みやすさに効いたか判断できます。会話が続く場面と、説明が続く場面の両方を試すと偏りを減らせます。
書体は雰囲気だけでなく字の見分けやすさで選びます
書体は文字の形のデザインです。本文と見出しを飾りすぎず、ひらがな、漢字、句読点、ルビがそれぞれ見やすいか確かめます。同じサイズの指定でも、書体によって大きく見えたり、細く見えたりします。
| 書体の候補 | 一般的な印象 | 確かめたい点 |
|---|---|---|
| 教科書体 | 手書きの字形を意識した、学習になじむ印象 | 読者が慣れた字形か、ルビも読み取れるか |
| 丸ゴシック | 丸みがあり、親しみや柔らかさを出しやすい | 小さい文字がつぶれないか、長文でも追いやすいか |
| 明朝体 | 線に太細があり、落ち着いた読み物の印象 | 細い線が薄く見えないか、本文の調子に合うか |
これは選ぶための目安です。学年だけで機械的に決めず、物語の雰囲気と読者の読みやすさを両方見ます。タイトル用の装飾的な書体を、そのまま長い本文に使う場合は特に注意します。
縦書きと横書きに合わせて綴じる側を決めます
日本語の物語では縦書きがよく使われます。一般に縦書きは右綴じ、横書きは左綴じで組みます。右綴じは表紙を正面に見て右側が綴じ目となり、左綴じは左側が綴じ目です。本の縦型・横型という形とは別の選択です。
横書きは、横方向に説明を追う図や数字の多い内容などで候補になります。縦書きでも挿絵は配置できます。途中で縦横を切り替えると読む順序に迷うことがあるので、必要な場面に絞り、視線が進む順番を確認します。
紙を折って仮の本を作り、表紙、扉、本文、奥付(著者や発行者などを記すページ)の順をたどってみましょう。画面上で左右に置いた絵が、製本後に意図した位置へ来るかを確認できます。
ルビと分かち書きは本文と一緒に調整します
ルビは漢字などに添えるふりがなです。お手軽出版のWordの説明では、ルビの大きさは本文の半分が一般的としています。あくまで出発点として、長い読みが続く箇所や、隣の行に近づく箇所を実寸で見てください。
Wordの行間を固定する場合も、ルビが欠けたり隣の行と重なったりしない高さを確保します。本文を小さくするとルビも小さくなるため、本文だけを見て判断しないようにします。どの漢字に付けるかは漢字とルビで整理できます。
ひらがなが続く文章には、意味のまとまりで空きを入れる分かち書きも使えます。自作の例なら「こねこがもりへいきました」を「こねこが もりへ いきました」とします。すべての語を細かく切るのではなく、音読して意味がつながる位置に入れ、作品内で方針を揃えます。
挿絵は役割に応じて大きさと位置を変えます
ページ全面の絵は場面の転換や広がり、半分ほどの絵は出来事と本文の結び付き、小さなカットは人物や道具の手がかりに使えます。カットとは、本文のそばに置く小さな挿絵です。読み物では、文章が不自然に途切れない場所に置くことが大切です。
例えば、扉を開けた先に何があるかを楽しませる話では、先のページの挿絵が答えを見せてしまわないか確かめます。絵が入る場所は原稿へ目印を付け、絵のファイル名と対応させると、組む人に意図を伝えやすくなります。
お手軽出版の本文レイアウト見本では、縦14(植物)・縦15(星空)が童話向きとして紹介されています。飾りが物語に合うかも含めて選び、見本の文章を自分の本文に替えて確認します。
最後に実寸で印刷し、読者に近い子どもに無理のない範囲で読んでもらいます。指で追う場所、読み飛ばす行、絵を見るタイミングを手がかりに調整し、仕様は制作仕様シートに残しましょう。