封筒に入れた応募原稿の束とペン

この記事の要点

応募原稿は、その回の要項に合わせて整えます。未発表やAI利用の扱いは賞によって異なるため、公開や他賞への応募をする前に確認し、提出した本文と要項の控えを残します。

応募書式はその回の要項を見ながら設定します

童話を書き上げたら、応募先の用紙サイズ、字詰め、縦書き・横書き、ページ番号の指定を確認します。確認日 2026年9月25日。要項は毎回変わるので応募前に必ず公式で確認してください。前回の応募ファイルをそのまま使わず、新しい要項と照合します。

第67回講談社児童文学新人賞は、A4横の用紙に縦書き、40字×30行で10〜100ページのPDFが指定です。400字詰め原稿用紙の枚数とは異なります。本文の文字数を単純に割った値だけでなく、指定書式で実際に何ページになるか確かめます。

WebフォームやPDFによる応募が広がっています。講談社児童文学新人賞は第67回からWeb応募のみで、郵送は選考対象外です。一方、第44回アンデルセンのメルヘン大賞は作品の送付が必要で、メール添付では応募できません。Webで応募者情報を入力できても、原稿までオンラインで送れるとは限りません。

PDFは書き出した後に開き、文字の欠け、ルビ、改ページ、ページ番号を見ます。表紙やあらすじを本文枚数に含めるか、氏名をどこに書くかも要項に従います。受け付けられたことを示す画面やメールと、送った原稿を保管しておきましょう。

応募用あらすじは結末まで書いて展開を伝えます

あらすじは読者を誘う紹介文ではなく、選考する人に物語の全体を伝える文です。「果たして助けられるのか」で止めず、主人公の願い、障害、行動、その結果まで書きます。設定の説明ばかりで終わらないようにします。

次は説明のために作った短い例です。「迷子の雲を見つけたミオは、風の止まった丘へ運ぼうとする。途中で雲を欲しがる花畑に出会い、雨を分ける。小さくなった雲は丘の上昇気流に乗って空へ帰り、ミオは花の種を持ち帰る。」このように、何を選び、どう終わるかを明示します。

第67回講談社児童文学新人賞は400〜800字、第26回長編児童文学新人賞は800字以内の梗概(物語の要約)を求めています。指定の字数まで説明を整理し、本文と結末や人物名が食い違わないか読み合わせます。題名や応募者情報は、指定された位置に別途記します。

未発表の意味は同人誌・ブログ・SNSで違います

自分で書いた作品でも、公開歴によっては応募できません。「販売していないから未発表」「削除したから未発表」と自己判断しないことが大切です。次は確認日時点の要項・FAQの比較です。

賞・回次既発表作について確認できた条件
アンデルセンのメルヘン大賞・第44回同人誌、ブログ、SNSに掲載した作品も不可
講談社児童文学新人賞・第67回商業出版を目的としない同人誌は可。同人誌の公募賞受賞作は対象外の場合あり。Web公開作は記載なし
小川未明文学賞・第35回同人誌発表は可、Web発表は不可
角川つばさ文庫小説賞・第15回商業未発表ならネット掲載作・同人誌発表作も可。応募方法による条件も確認

多くの新人賞は既発表作を対象外にしつつ、一部の発表方法に例外を設けています。応募を考えているなら、応募先を決める前にSNSやブログで公開しないほうが選択肢を保てます。講座や勉強会で人に見せる場合も、応募予定の賞の扱いを確かめます。

自費出版歴と二重投稿の条件は別々に確認します

自費出版の経験がある人の応募資格と、自費出版済みの作品を応募できるかは別問題です。岩崎書店のジュニア冒険小説大賞のFAQでは、自費出版した作品やブログ発表作は応募できません。作品を手元で製本した場合も、配布・公開の範囲を具体的に伝えて主催者に確認します。

二重投稿とは、同じ作品を同時に複数の賞へ送ることです。結果待ちの原稿を別の賞に出さず、題名を変えたものや同じ着想を大きく書き直したものにも注意します。「応募先・回次・提出日・結果・公開歴」を作品ごとに記録すると確認しやすくなります。

落選後なら自由に再応募できるとも限りません。アンデルセンのメルヘン大賞と岩崎書店のジュニア冒険小説大賞・福島正実記念SF童話賞は、他の公募への応募歴がある作品も対象外です。別の賞へ送る前に、新しい応募先の条件を読み直してください。

AI利用は本文以外も選考対象外になる場合があります

第67回講談社児童文学新人賞は文章作成AIを利用した作品を選考対象外としています。第44回アンデルセンのメルヘン大賞では、調べものへの利用は認める一方、あらすじ、構成、登場人物を作る利用も不可です。自分で文章を書き直せば応募できる、と考えないでください。

第15回角川つばさ文庫小説賞は誤字チェックなどの補助利用を認め、利用時の申告を求めています。第3回角野栄子あたらしい童話大賞も補助に限り、本文・プロット・構成・人物設定の生成は対象外です。賞ごとに境界が違うため、使った機能と用途を記録し、不明点は利用前に問い合わせます。

著作権と出版権は応募前に帰属を読みます

第44回アンデルセンのメルヘン大賞では、大賞・優秀賞作品の著作権が主催者に帰属します。第67回講談社児童文学新人賞では著作権は作者、出版権は講談社に帰属します。「名前が著者として載ること」と「利用を決める権利を持つこと」を分けて確認しましょう。

受賞しなければ制約がないとも限りません。岩崎書店の両賞は全応募作について、発表(授賞式)後6か月間の優先出版権を設定しています。その間の他社への持ち込みなどは、条件を確かめてから進めます。

要項にある権利の対象、期間、印税、作品集やWebへの掲載条件を読み、分からない点は応募前に主催者へ確認してください。著作権の基本と公募一覧も参照し、送信前に本文・あらすじ・応募者情報を照合します。

出典・参考

応募する前に、要項と権利を確認

書式だけでなく、未発表・二重投稿・AI利用の規定も賞ごとに確かめます。