対象年齢の違う児童書が並んだ本棚

この記事の要点

誰に、どこで、どう読んでもらいたいかを決めると、本の仕様と進め方が見えてきます。家族用なら贈る相手、公募用なら公開前の条件確認、地域の話なら出典と聞き取りから始めます。

作る目的を決めると、原稿と本の仕様を選びやすくなります

児童書を書いて本にする目的は、書店で販売することだけではありません。子や孫に物語を残す、教室で同じお話を楽しむ、昔話を次の世代へ渡すなど、届け方によって準備が変わります。まず「誰に何を渡したいか」を短い文にしてみましょう。

例として「孫が自分の名前を見つけて喜ぶ、家族で読む童話を贈る」と書けば、名入れと読み聞かせのしやすさが大切になります。「地域の子どもが昔の暮らしを知る本」なら、言葉の説明や出典を整えることが先です。目的は途中で変えてもよいので、現在の優先順位を見える形にします。

作る目的先に決めること原稿・本の工夫
子や孫へ贈る名前の入れ方、贈る相手、必要部数部数は少なめから検討。保存用にはハードカバーも候補
教室や園で使う読む場所、人数、園や学校の許可離れても見える大きさ、繰り返し使える丈夫さ
作家を目指す応募先と未発表の条件公開前に要項を確認し、対象年齢と書式を合わせる
地域の昔話を残す聞き取り先、出典、再話の権利方言の説明や、どこで誰から聞いた話かを添える

子や孫への贈り物は、名前と渡す範囲を決めます

主人公に子どもの名前を入れる、巻頭に短い贈り言葉を載せる、家族が知る場所を舞台にする、といった方法があります。「あなたが生まれた町のお話です」のように、物語を読み始めるきっかけとして添えると自然です。実際の子どもの性格を、そのまま主人公の役割に固定する必要はありません。

名前を載せる場合は、家族だけに渡すのか、販売やウェブ紹介もするのかを分けて考えます。広く届ける予定なら、名前を変える、贈り言葉を個別に書き添える方法もあります。写真や実在の人の情報を扱うときは著作権と掲載の確認も参照してください。

部数は贈る相手を数え、著者の保管分を加えて考えます。長く手元に置くなら、硬い表紙のハードカバーも選択肢です。ただし、開きやすさや重さも関わるので、丈夫さだけで決めず判型と製本で使い方に合う形を選びます。

教室や園で使う本は、読み方と許可を先に確かめます

大人が前に立って読む本と、子どもが手元で読む本では、必要な大きさが違います。遠くから見せるなら、細かな挿絵や小さい文字に頼りすぎない紙面にします。試し刷りを実際の距離から見て、絵の中の大事な動きが伝わるか確かめましょう。

園や学校で使う場合は、担当者に利用目的と配布の範囲を伝えて許可を得ます。園名、行事の写真、子どもの作品などを掲載するなら、それぞれの掲載範囲も確認します。自分が勤務している場所でも、勤務先や関係者の判断を省略しないようにします。

繰り返し使う本は、紙や製本の丈夫さ、持ち運ぶ際の重さを相談します。読み聞かせ後のやり取りを想定するなら、「主人公は正しかったですか」と答えを誘導するより、「気になった場面はどこでしたか」と話せる余地を残す方法があります。

作家を目指すなら、公募前の公開を急がず要項を読みます

公募を考えている原稿は、ブログやSNSで公開したり、自費出版したりする前に、応募先の要項を確かめます。「未発表」の範囲は賞ごとに異なり、公開を取り消しても応募できるとは限りません。先に応募先を決めると、対象年齢や分量も絞れます。

家族に読んでもらう原稿と、誰でも閲覧できる場所に載せる原稿は扱いが違います。迷う場合は、どこへどのように見せる予定かを具体的にして、主催者の説明を確認してください。応募原稿と公開の注意で確認事項を整理できます。自費出版で本を作る経験と、公募で評価されることは別の成果として考えます。

地域の昔話を残すときは、聞き取りと出典を記録します

地域で聞いた話を子ども向けに語り直す場合は、誰から、どこで、いつ聞いたかを記録します。話し手には本にする目的と配る範囲を伝え、掲載する名前や文章も相談します。異なる語り方が伝わっているなら、無理に正解を決めず、今回取り上げた話の由来を示します。

古くからの話でも、手元の本の文章や現代の再話をそのまま使えるとは限りません。自分が聞いた話と、資料から借りた表現を区別し、昔話の再話と権利で確認します。難しい方言は全て消すより、会話に残して地の文で意味を補う方法もあります。

お客様の声を参考に、部数と費用の優先順位を決めます

家族と本を作る喜びが伝わる声もあります。『あなたと作る心の絵本 ヤドカリの物語』の石歌庵さんは「絵を描いた姉もとても喜んでおりました。」と記しています。出典:お手軽出版ドットコム お客様の声。

『お父さんお母さんへLOVEレター』の高橋せつ子さんは「でも両親にはちょっぴり親孝行できたかなと思っています。」と語っています。出典:お手軽出版ドットコム お客様の声。いずれも絵本を作った方の個別の感想で、家族と作る、家族に思いを届ける目的を考える参考になります。

目的が見えたら、渡す先を一覧にして部数と配り方を決めます。次にカラーの範囲、製本、挿絵を頼むかを整理し、費用の考え方へ進みます。文字中心の童話の費用は、絵本の料金例を当てはめず、希望する仕様で自動見積もりを確かめてください。

出典・参考

原稿を読みやすく整える

漢字と分量を確かめ、読者に合った本文を考えましょう。